なんともやりきれない気持ち。
いつも事務所ではラジオやPCに入れた音楽を流しているが
今日はそんな気分にはなれなかった。
事務所の大家さん。
うちの３台の自転車の“かかりつけ医”。
下校中の小中学生、隣の美容院に通う若いインターン、宅配のお兄さん
…店前を通る人には気さくに声をかけていた。
もちろん、私が事務所に来た時も必ず。
６年前。市民テーブルは事務所を探すことになった。
ロケーションボックスのロケ地カタログ作成事業を受託したが
「緊急雇用対策補助金」事業という性格上、
メンバー外のスタッフを雇用することになり
事務所が必要になったのだ。
法人格もない、不特定のスタッフが出入りする
そんな“あやしげな”団体に快く部屋を貸してくれる大家さんはそうそういない。
どういうルートで紹介を受けたのか記憶は定かでないが、
初めて大家さんにお会いしたとき、鍵をポーンと投げて渡してくれて
自由に見ていいよ、と。
確か下見は４件目くらいだったが
その部屋にしばらく居て、レイアウトなどいろいろ妄想してるうち
私の気持ちは固まった。メンバーも私の決断を支持してくれた。
市役所や郵便局も近く、家賃もなんとか負担できる額。
そしてなにより、理解ある大家さんの存在。
事務所が留守の時は宅配便を受け取ってくれたり
わざわざ３階までご足労かけることのないよう
来訪客に「いま、居ないみたいだよ」と声掛けてくれたり。
逆に「なんとかさんが来たよ」と私に教えてくれたり。
国分寺市役所ができたばかりの当時の話を聞かせてくれたり
「あそこに新しい店できるよ」と、地元ならではの情報入れてくれたり。
商店街の盆踊りのときは、娘の姿見つけるとかき氷をおごってくれた。
まもなく３回目の契約更新を迎える。不動産屋さんから書類が届いた。
家賃は据え置かれていてホっとした。そんな矢先…
何日か前からのシャッターの「しばらく休業します」の貼り紙に
いやな予感を感じてはいたのだが、そんなことはないと自らうち消していた。
しかし、きょう信じたくない悲しい知らせを受けた。
淋しい。つらい。
棺の中の大家さんがとても安らかないいお顔だったのがせめてもの救い。
お世話になりました。
ありがとうございました。さようなら。
